対象:2026年1月4日〜8月30日の1,900レース。公開済みの当日予想成績ではなく、過去データを使った研究結果です。
AIモデルを改良するとき、的中率だけが上がっても、そのモデルを採用すべきとは限りません。競馬AIオッズベースでは、既存の穴馬候補選定モデルBと、過去成績を追加した研究モデルB3を同じ1,900レースで比較しました。
結果は、一見するとB3の勝ちです。単勝的中数は135回から147回へ12回増えました。 しかし参考回収率は、84.32%から81.14%へ低下しました。数字の食い違いを、そのまま解説します。
比較対象を揃えた理由
対象は必要な予測と全頭分の最終オッズが揃ったレースです。無料サイトの既存B上位4頭を除き、過去に有効な出走が3走以上ある馬から、両モデルがそれぞれ1頭を選びました。つまり、2つのモデルを別々の日程・別々のレースで比較してはいません。
「Bの5位以下」は、単勝の5番人気以下という意味ではありません。 また、候補の抽出時に当日の最終オッズを選定条件として使用していません。回収率の集計には事後の最終オッズを使用しており、発走前に実際に購入できた価格を示すものではありません。
| 指標 | 既存B | 研究モデルB3 |
|---|---|---|
| 対象レース | 1,900 | 1,900 |
| 単勝的中 | 135 | 147 |
| 単勝的中率 | 7.11% | 7.74% |
| 3着以内 | 502 | 524 |
| 的中馬の平均最終オッズ | 11.87倍 | 10.49倍 |
| 単勝参考回収率 | 84.32% | 81.14% |
※各レース1点100円の仮想計算。最終オッズを用いた参考値であり、公式払戻・実購入の収支と同一ではありません。
なぜ的中率が上がって回収率が下がったのか
どちらも的中したのは105レースでした。既存Bだけが的中したのは30レース、新B3だけが的中したのは42レースです。
| 的中の組み合わせ | レース数 | 既存Bの参考払戻 | 新B3の参考払戻 |
|---|---|---|---|
| 両方的中 | 105 | 110,840円 | 110,840円 |
| 既存Bのみ的中 | 30 | 49,370円 | 0円 |
| 新B3のみ的中 | 42 | 0円 | 43,330円 |
| 両方不的中 | 1,723 | 0円 | 0円 |
B3が新たに当てた42件の参考払戻は43,330円ですが、取りこぼした既存Bの30件は49,370円相当。的中は12件増えても、追加分の払戻は失った分を下回りました。
競馬の予測では、当てやすい候補を選ぶ改善と、適切な価格で期待値がある候補を選ぶ改善は一致しないことがあります。B3は3着以内を予測する学習目標なので、単勝の回収率とは目標そのものが異なります。ただし、これが今回の差の唯一の原因だとは断定できません。
結果のばらつきも確認する
日単位で再抽出して回収率の差のばらつきを調べると、差の95%区間は約 −18.27〜+9.81ポイント でした。0を含むため、今後もB3が低い・高いとは断定できません。今回調べたデータはモデルの研究過程で既に参照しており、完全な未見検証でもありません。
さらに両モデルとも参考回収率は100%未満です。「穴馬AIで利益が出るようになった」という主張は、この結果からはできません。
この実験で採用した判断
現段階では既存Bを維持し、B3は研究用に留めます。次回は発走前にモデル版・候補馬・計算時刻を固定し、確定結果で同条件の比較を続けます。条件を途中から変更した場合は、別の実験として記録します。
モデルを使う読者にとっても、的中率だけでなく、対象レース、払戻の種類、除外の扱い、未来日の再現性を見ることが重要です。見栄えのよい数字だけを選んで掲載しないことが、AI予測の検証には欠かせません。
研究上の注意:本記事はモデル開発の検証結果で、発走前の買い目の推奨ではありません。学習期間・候補抽出条件・最終オッズ利用の限界を記載した上で公開します。的中・利益を保証しません。


